ディスクやROMは残してほしかった 平方野雪です。
突然ですが皆さんは、ゲーム機と聞いて何を思い浮かべますか?
そう、PlayStation(以下プレステ)ですよね。
オレも当時はPS2を死ぬほど遊びました。
キングダムハーツ……みんゴル…….hack……サルゲッチュ……
クラッシュバンディクー……はよくやったのPS1か
そして最終的にはディスクを読み込まなくなりました。
文字どおり死ぬほど遊んだのです。
そんな思い入れのあるプレステですが、
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)は2026年7月1日、
「2028年1月以降にPlayStation向けに発売されるすべての新作ゲームについて、
ディスク版の生産を終了する」と発表しました。
ディスクを終了するということは、ディスクが終了するということですが(進次郎)
オレは昔ながらの物理版派なので正直、「ディスクレスをレスしてほしい」です。
円盤やめるのをやめろ!
そんな事をしたら中古でゲームを買えない。売れない。棚に並べられない。
小売店からゲームが消えれば、プレステ自体の露出まで減るのではないか?
そして短期的にはSIEが得しても長期的には自分の首を絞めるんじゃないか?
ところが……調べてみると、これが思ったより単純な話ではありませんでした。
現在のプレステは、すでにゲーム販売本数の約8割がダウンロード版だったからです。
それならSIEがディスクを切るのも、そりゃ合理的だね!HAHAHA
……と思ってたら、今度は海外アンケートで
「普段DL版を好む人でも物理版廃止には否定的」という
売上比率からは少々想像できないような、ちぐはぐな結果まで出ています。
というわけで今回は、プレステのディスクレス化を巡った記事です。
「現状ですらDL版が主流なら、本当にディスクをなくしても問題ないのか?」
というところから、ディスクレス化の影響、
ゲームの中古や小売店、ライバルとなるSteamとの比較、
そして今後プレステが完全DL化して成功する条件まで色々考えていきます。
1.PlayStationの新作ディスク終了とは何なのか
まずはPlayStation公式発表を簡単に整理します。
- 2028年1月以降の新作ゲームはディスク版なし
- PS6本体にディスクドライブが付くかは未発表
- 2028年以前に発売されたディスクが使えなくなるわけではない
- 新作はPS Storeだけでなく販売店でもダウンロード版として提供予定
お客様という「お」だけがなぜかデカくてビビりますが、簡単に言えば
「これから新作ディスクは作らない。でも今までのディスクまで消す話ではない」
ということです。
しかし注意したいのは、PS6の仕様発表ではないことです。
PS5ではすでにディスクドライブ非搭載モデルがあり、
現在のモデルでは別売りドライブを追加する方式も採用されています。
なのでPS6も完全ドライブレスになるのか。旧作のPS4・PS5ディスクを遊ぶために
ドライブを残すのか……そこはまだ分かりません。
ただ、新作ソフト側のディスクがなくなる以上、
PlayStationの新作ゲーム販売がデジタル中心になること自体は確定です。
2.実はもう約8割がダウンロード版だった
さて、一旦オレの「ディスクを残してほしい」という感情をUMD射出して、
実際の売上を見てみましょう。
ソニーグループの2026年度第1四半期補足資料によると、
PS4・PS5のフルゲーム販売本数に占めるダウンロード版の割合は以下の通りです。
- 2025年度通期:78%
- 2026年度第1四半期:82%
約5本に4本がすでにDL版。
これは……思ったより多いですね!?
今回のディスク廃止についてSIEが
「お客様の購買トレンドや利用実態に合わせました」
と言っているのは、正直なところかなり真っ当です。
2028年になっても、大多数の購入については
「今までもDL版だったし、別に何も変わらん」で終わる可能性があります。
なので超ぶっちゃけると
「ディスクがなくなったら大多数のユーザーが困ってプレステ終了!
だからディスクやめんな!」
という話をしようと思っていたのですが、
数字を無視してそげな事ほざいちょったら、おいどんが嘘つきですたい。
現実は割と非情でした。
ただし、とはいえこの78%という数字にも注意が必要です。
これは販売本数の割合であって、あくまでも売上。
「78%のユーザーが物理版なんて要らないと思っている」
という意味ではありません。
では、実際ユーザー側はどう思っているのか?
調べてみると、ここが少し面白いところですたい。
3.DL版を買う人も、物理版をなくしたいとは限らない
続いて、YouGovが2026年7月に行った米国調査では、
米国成人1,500人を調査し、そのうちPC・コンソールゲームを
週1時間以上遊ぶ471人の回答を分析しています。
その結果、コンソールゲームについて以下の通りになりました。
- 物理版を好む:51%
- DL版を好む:32%
おや?先ほど売上本数ではプレステの約8割がDL版だったのに、
好みを聞くと物理版のほうが多いですね。妙だな……
とはいえ、これはもちろん米国の調査であって、
PlayStationユーザーだけを対象にしたものでもありません。
なので、数字の対象が別物な事には注意です。
仮に、日本で同じ質問をすれば結果が変わる可能性も十分にあります。
つまりこの数字だけで「本当はみんな物理派なんだ!」
と言うことにはできませんが……しかし、もう一つ面白い結果があります。
DL版を好む人でも47%が物理版の廃止に反対。
さらに41%が「物理ゲームに対応しないゲーム機は選びにくくなる」
と回答しています。つまり、
「普段どっちを買うか」と
「もう片方の選択肢を消していいと思うか」は、どうやら別問題らしいです。
オレ自身は物理派なので、この辺りのDL派の感覚は
正直あまり想像できていませんでした。
物理版があれば物理版を買うのと同じで、DL版派は
「DL版最高ウヒョーw物理版とかタイパ悪いっしょw」みたいな
人と人はわかり合うことが出来ないアレなんじゃないかと勝手に思ってました。
ですが、いくらアンケ対象が別とはいえこの数字を見る限り、
「自分はほぼDLで買うけど、だからといって
ディスクまで完全廃止しなくてもいいんじゃない?」
というDL派は普通に存在するようです。ということで、ここからの話は
「物理版を買う人が多数派か少数派か」ではなく、
物理版という選択肢を消すと何がなくなるのか?として考えていきます。
4.それでもディスクを切るメリットはかなり大きい
製造・物流・在庫から解放される
まず物理版を売るにはディスク、ケース、ジャケットを製造し、
世界中へ輸送しどれだけ売れるか予想して生産しなければなりません。
売れすぎれば品切れ。売れなければ在庫。地獄ですね。
ですがDL版なら、この問題は大幅に減ります。
当然サーバーや決済システムなどデジタル側のコストはありますが、
物理的な商品を生産して各店舗へ流すより管理はしやすくなります。
販売をPlayStationの中へ集められる
さらに大きいのが、ゲーム販売をPlayStationのデジタル環境へ集められることです。
中古ゲームが何回売買されても、メーカーへ新たな売上は入りません。
完全DL化すれば、新しくゲームを購入するたびにデジタル販売を通る形になります。
しかも、販売本数の約8割がすでにDLなのであれば、
残った物理流通のために製造や流通体制を維持するより、
デジタルへ一本化したくなるのも分かります。
なので、SIE側から見たディスク廃止は、思っていた以上に合理的だと思います。
これは正直認めざるを得ません。
オレもシミュレーションゲーで
「売上の大半がもうデジタルだけど、残りのために物理流通を維持しますか?」
なんて選択肢を出されたら、物理をキリステでしょう。ゴーメン。
では……そうしてディスクを切り捨てられたユーザー側は何を失うのでしょうか?
5.物理版がなくなると何を失うのか
中古で買えない・売れない
一番分かりやすいのは中古ゲームです。
安く買えなくなり、合わなかったゲームを売ることもできません。
友人へ貸す。遊ばなくなった作品を譲る。
そういった物理商品ならではの自由も失われます。
例えば、一万円でゲームを買ってプレイし、飽きたら売る。
もしゲームが6000円で売れたなら、ゲームの実質的な負担は4000円。
さらにその6000円で次の新品を買うことだってできます。
とはいえこれらの中古販売は、メーカーへ直接利益が入りません。
なのでぶっちゃけ最も切りたい部分なのでしょう。
しかし、ユーザー側から見ればゲーム購入資金を循環させる仕組みでもあります。
しかもPS Storeは返品がかなり厳しい
中古で売れないDL版とて、返品制度が充実していれば話は変わります。
例えば、ゲーム配信プラットフォームのSteamの返金制度では、
原則として購入から14日以内+プレイ時間2時間未満であれば
実際に遊んだ後でも返金を申請できます。
ところがPlayStation Storeのキャンセルポリシーでは、
ダウンロードまたはストリーミングを開始すると、
不具合がある場合を除いて原則キャンセルできません。
例え、ゲーム購入から14日以内だろうと関係ありません。
先っちょだけでもダウンロードを許した瞬間アウトです。
現状でもDL版はそうですが、現行制度のまま完全DL化するとこうなります。
遊んで合わない
↓
中古で売れない
↓
返品もできない
えープレステさん厳しーw
Steamならそんな思いさせないけどなーw
もちろん、こういった返金前提でゲームを買うのは健全ではありませんが
制度として用意されてるか否かはまた別の話です。
ディスクという中古の逃げ道を消すのであれば、
デジタル購入リスクを減らす仕組みを、もう少し欲しいところではあります。
価格の選択肢も減る
他にも物理版なら通販の値引き、量販店のポイント、
在庫処分、中古価格などがあります。
ゲームにもよりますが、物理版とDL版の定価が同じ作品も多く、
DL版のほうが安い例もあります。
まぁデジタル版もたまにドデカい値下げセールをすることもありますが……
問題は価格そのものより、どこで買うかという選択肢が減ることです。
ディスクがなくなれば、店舗が独自に値下げしていた
新品や中古といったのも物理的になくなるので、
基本的には、デジタル側の価格とセールを待つことになります。
物理版をやめて製造・物流を効率化するならその分が当然浮くはずです。
ではその浮いた分が、価格やサービスとしてユーザーへ返ってくるのか?
メーカーが儲かるな!とは言いませんが、ユーザーとしては期待してしまう所。
現時点での回答はありませんが、ここは今後どうなるか見ものですね。
6.小売店への影響はある。しかし「それでPSが衰退する」のか?
物理版をなくすと、小売店への影響も避けられません。
従来のゲーム店は本体を売った後も新品ソフトを売り、
中古を買い取り、コントローラーを始めとした周辺機器を販売していました。
しかし完全DL化すれば、本体を売った後のゲーム購入先は
基本的にPS Storeなどのデジタル販売へ移ります。
すでにPS5デジタル・エディションでは、
ゲーム本編の単品DLカードが大量に店頭へ並ぶ形ではなくなっています。
そして店頭では、主にストアへ金額を追加する
プレイステーション ストアカード/チケットなどが販売されています。
つまり、本体は店で買ってください。でもゲームはその後デジタルで買って♥
という構造は、すでに一部始まっています。
完全DL化すれば、小売店側としては
新品・中古ソフトを並べる理由は当然弱くなるでしょう。
するとどういったことになるか?ゲーム売り場の縮小化です。
元々、ゲーム売り場には商品を売るだけでなく
- 家族で店に来た子供がゲームを見る
- 親が誕生日やクリスマスのゲームを探す
- 値下げされた知らない作品を偶然見つける
といった偶然ゲームへ触れる場所としての役割もありました。
いわば新規獲得の為の広告です。
しかし、ゲーム売り場が縮小すれば、こうした接触機会は減ると考えられます。
ただし……ここは一つ線を引いておきます。
「店頭露出が減る」
↓
「新規ユーザーが減る」
↓
「PlayStation市場が衰退する」
ということを証明できるデータは、今回調べた範囲では見つけられませんでした。
ネットが発達する以前であれば口コミや店頭、雑誌が主な情報源だったため
ゲーム売り場が新規獲得の広告であったことは間違いないのでしょうが……
オレの体感でも、ゲーム売り場でこんな新品出るんだ!とかを知った覚えもあります。
ですが、現代においてYouTube、SNS、配信者、オンライン広告など、
新しいゲームを知る経路はいくらでもあります。
なので、ディスクレス化がもたらすであろう小売店ゲーム売り場の縮小が
長期的にどう出るかは未知数です。ゼロでは無いでしょうが
DL版の購入が多いという点を見れば、存外あまり影響がないのかもしれません。
それでも長期的には、PlayStationがデジタル側で新規ユーザーを獲得できるかも
重要になってくるでしょう。
7.完全DL化したプレステは何を強みにするのか
PCより安くて簡単という強みは残る
ゲーム機の中でも性能重視なプレステ系機種は、
昔からよくゲーミングPCと比較されてきました。
昨今では多くのサードパーティー作品がコンシューマーとPCの両方へ展開されるため、
今後、物理版をなくすことも含めてより一層プレステは
ゲーミングPCと比較されることとなるでしょう。
しかし、何と言ってもプレステ含む家庭用ゲーム機最大の利点は
同程度のゲーム性能をPCで揃えるより価格を抑えやすく、設定も簡単という点です。
必要なグラボやメモリを調べる必要はない。
買ってテレビへつなぎ、ゲームを起動すればいい。
PCの細かな設定や相性問題へ付き合いたくない人、
「動画編集とかブログ書くとか知らんわゲームだけしたいんじゃ」という人は
これだけでも十分な価値があります。
以前まではそれでもよかったのですが、物理版というメリットを捨てるとなると
「同じゲームをDLで買うなら、なぜPCではなくプレステなのか?」
という、選ぶ理由が他にも欲しくなってきます。
今後は「購入したゲームが世代を越えて残る」が重要では?
ここからは仮説となりますが、重要になるのが互換性だとオレは見てます。
現在のPS5は4,000本以上あるPS4作品の大多数へ対応し、
PS4で購入したDL版も同じゲームライブラリーから利用できます。
これ数自体は非常に良い。
しかしPlayStationは歴史的に、ずっと同じ互換方針だったわけではありません。
PS2ではPS1を遊べましたが、PS3ではモデルによってPS2互換が削られ、
PS4ではPS1・PS2・PS3ソフトとの後方互換がなくなりました。
ナンバリングや機種の仕様によっても互換性はまちまちで
この辺りはややこしく、正直初見には優しくないです。
一方Steamでは、PCを買い替えても
購入済みライブラリ自体は基本的に同じアカウントへ残ります。
もちろん古いPCゲームが最新Windowsで必ず動くわけではありませんが、
「Steamが次世代になったので、前世代の購入権は終わり」
というゲーム機特有の区切りは基本的にありません。
完全DL化していくのであれば、PlayStationにも
「PS Storeで買ったゲームは、これから先も世代を越えて使える」
という信用が必要になると思います。
簡単に言えばPS6になった瞬間、仮に
「先程のPS4の4,000本のソフトが遊べなくなりました」では、
これからは「じゃあSteamでよくね?」となってしまうということ。
えーwプレステさん厳しーw と脳を破壊しにSteamがやってきます。
なので、今後の互換性は必須レベルでしょう。
8.いっそネットもスマホもソニーにしてしまう?
そして完全DL化したプレステへさらに独自性を持たせるなら、
いっそのこと、ゲーム機単体で考えるのをやめる方法もあります。
物理ディスクを捨て、完全DL化したプレステは
ゲームを入手するためのネット環境が事実上必須ですよね?
だったらネット回線もセットで売ればいい。
要は、ゲームだけでなく通信環境ごとまとめてソニーにする。
ネットはソニー、ゲーム機もソニー、スマホもソニー。
アカウント連動でスマホでもプレステゲームが出来る。
Storeの買い物もネット契約で割引。
高くなってくプレステ代も、スマホみたいに2年契約の割賦で支払いすれば
トータルでこそ変わらないにしても、一度に支払う負担は減ります。
こんな風になったら、他のライバルを寄せ付けないアルティメットプランです。
……とまぁ、オレが考え出したみたいな言い方ですが、
これ実は過去にソニーがやろうとしていたことの発展型です。
ソニーにはネット回線NUROがありますし、
NURO光ではPS5デジタル・エディションを月額で利用するプランも
すでに存在しています。
さらにソニーは過去、ゲーム用の方向キーやボタンを備えた
「Xperia PLAY」というスマートフォンまで作っていました。
なので、これらは完全にオレの妄想……という訳ではなかったのです。
- 家ではPS6
- 外ではスマホ兼携帯PSP
- 固定・モバイル回線もソニー
- PS Plusもセット
- テレビも必要ならブラビア
くらいまでやると、ユーザー側は
「ゲーム環境?全部ソニープランで」で済みます。
ここまで行けばSteamにも任天堂にもない独自性です。
スマホゲームにも食い込めるのではないでしょうか?素敵だね。無敵だね。
とはいえ問題は、挑戦「した」という過去形であって
今継続されてません。理由はおわかりですね?
今ですら任天堂やSteamといった企業と戦わなければならない状態なのに
そんなことをすればApple、Google、通信会社、家電メーカーなど
あらゆる巨大企業と再び戦うことになります。
とはいえ、ユーザーとしては見てみたいですよね?アルティメットソニープラン。
ソニーにはぜひとも正気を失って無限の戦いに身を投じて欲しいです。
9.最後に
今回、最初は
「物理ディスクをなくしたら、小売も中古も弱って
長期的にはプレステが危ないんじゃないか?」
というところから考え始めました。
しかし蓋を開ければ、PS4・PS5のフルゲーム販売本数はすでに約8割がDL版。
現在の購買実態だけを見るなら、ディスク廃止は想像以上に合理的です。
これを見る限り、物理ディスク生産終了となる2028年になっても、
大多数の購入者は案外何も変わらないかもしれません。
一方で、海外調査を見るとDL版を好む人の中にも物理版廃止を嫌う人がいます。
これは意外だったのですが、「普段DL版を買う」ことと
「物理版という選択肢はいらない」ことは同じではなかった。
そしてディスクを完全に消せば、中古売買や小売店といった
様々なものも一緒に消え、ライバルが増えます。
なので、それらを変化させる以上にプレステも変化しないと厳しいのかもしれません。
PS6が、ただ物理ディスクの存在しないゲーム機になるのか。
それとも、これまで以上の価値を提供するPlayStationになるのか。
今回のディスク終了は、その答えをSIEへ求める挑戦なのかもしれませんね。

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